STAP細胞事件の闇・2

14年に持ち上がったSTAP細胞問題にまつわる騒ぎには、事実であるものとそうでないもの、事実として当初は提示されたが後にそうでないと訂正されたもの、小保方研究員個人のパースナリティや履歴、行動に関わる事実と単なる誹謗中傷に過ぎないもの、と恐ろしく種々雑多で沢山の情報が乱れ飛んだ。

だが、前回に書いた「STAP細胞問題の騒ぎを当時大きくし、後にそれが事実でないと分かった事柄」では、若山照彦の関係する事柄が、決定的に大きい。その第一は、3月10日の共著者たちとの協議や相談も経ないままでの独断でのネイチャー論文取り下げの発表であり、次には6月の、自分が小保方に渡して、彼女がそこからSTAP細胞を作製して自分に返却したマウスは自分が彼女に渡したマウスではないという爆弾発言だ。第一はネイチャーに投稿した論文には何か致命的なミスが後で発見されたのかと世間に印象され、第二は、小保方が個人的に研究プロセスやデータを捏造していると、決定的に世間に印象付けた。

そして第三番めは、理研の遠藤高帆上級研究員がネットや日経サイエンスに発表した「8番目トリソミー問題」である。これは簡単にいうと、問題となっているなっている対象のマウスび遺伝子の8番目の染色体の数が1本だけ多く3本だということ。小保方がSTAP細胞と主張しているものは、それを作製した元のマウスの遺伝子の当該部分の特徴から、じつはES細胞とTS細胞の混淆したものではないかということだ。

これらはみな、14年の3月から4月というこのSTAP細胞問題と、とくに小保方研究員個人への攻撃、誹謗中傷がもっともひどかった時期だったために、そのインチキ性を決定づけるものとして世間には働いた。テレビ、新聞、ラジオ、雑誌またネットはその疑惑化をこれ以上ないほど強調し、それ以外に結論はあり得ないとの調子で報じた。

結論からいえば、その後数か月でこれらはすべて事実無根か論証力に乏しいデータとされて決着がついた。

このことで最大の問題は、であるにもかかわらず、いかにもSTAP細胞小保方晴子のクロ決定!とあれだけ大騒ぎしたマスコミは、ただの1つとして、結局そうなったとの決着を報じていないことだ。マスコミの無責任と犯罪性はここに極まっている。いや、前記二者の虚言情報と完全にそれを丸呑みしてそれに基づいて出された理研改革員会と自己検証委員会の「CDB=理研発生・再生医療総合研究センター解体」の結論で、そのCDB副センター長笹井芳樹の自殺は惹き起こされたのだから、この二者は殺害の罪責も負っている。

結論をいおう。

14年1月28日からわずか6日後での、ネットのPeerBeerと名乗るサイトでの小保方論文の画像やデータ取り違えの恐るべき早さでの指摘はいったい誰がどのようなプロセスでなしたのか。英ネイチャー誌のプロの論文査閲委員が一年間のチェックでも見つけられなかったものをだ。その目的は何なのか。またあれほどの総量のマスコミをあれほど長期に扇動しリードし続ける情報、組織力、資金はどこから何のために提供されたのか。すべては、STAP細胞と小保方潰しというただ一点のためにだ。

それは、STAP細胞が成功裡に進捗すると自分たちの既得権益および莫大な将来獲得利益の損害になる見定めた側―理研内反笹井・CDB勢力、iPS細胞推進の機関・製薬企業、安倍政権内当該政治家勢力、官庁たちが、陰に陽に手を組んで推進したパワーとしか考えられない。早大の小保方への博士号授与当局もそれらの権力、金力、パワーに手もなくやられ、彼女に孤立無援で荒野に立つ彼女に一顧も与えることなく、見捨てた。私は小保方は、自殺することなく、よくここまでたった一人で耐え抜いたと思う。現代という資本とパワーの世の酷薄さよ。よく知っておくべきだ。