人間

人間ってそれぞれなんかこう、色々抱えてる。

多くの場合それは外から正しい形では見えない。

そのせいで誤解が生じたり、うんざりした気持ちになったりする。

色々うまくいかなすぎて、人生があまりにもなんかこう残酷すぎて、

なんかもういっそ死にたくなったりする。

辛すぎて死にたくなったりする。

死んだら多分天国も地獄もなく、ただ無になるだけで、夜寝て夢も見ずぐっすり眠ってる時と同じ状態。

もういっそ永遠にそのままになりたい。

そんな気持ちになることってやっぱあるよ。誰だって。

あなたが抱えてるそれがどんなに「他の人とは圧倒的に遥かに違う、特別で壮絶な悲しみ」に思えても、

案外そんなレベルのアレを抱えてる人って結構いっぱいいる。

別に不幸比べをして「一等賞の人しか泣いちゃいけません」みたいな話じゃない。

もっと現実的な話だ。

人生なんてどうせいつか終わるんだ。

死を願わなくたっていずれちゃんと終わる。

絶対に終わる。

死ぬんだよ。

めちゃめちゃ悲しい事があって、耐えられなくて、もう死にたくなっても、その「死にたいほどの辛さ」をどうにか乗り越えて頑張って生きる事を選んでも、いつか誠に残念ながら、死ぬ。

それが人生。

不本意な死を遂げた人をたくさん見てきた。

その死に顔を視てきた。

ただただ壮絶だった。

悲壮だった。

哀れだった。

生き物からただの「物」になる時、なんであんなにも生命に満ちた般若みたいな顔が出来るんだろう。

多分だけど、きっと、死にたくないのにいきなり死んだから。

不本意な死。

望んで死にゆく人なんて一体どれだけ居るだろう。

俺は今すごく幸せ。

ぶっちゃけいつ死んでもいいと思ってる。

人生に投げやりなんじゃなくて、今が人生の最高潮だから。

今人生がここで終わっても、「最高の人生でした。超満足ゥ!」って言ってピースして死ねる。

HIVの検査結果を怖いと思ったこともない。

脳のMRIに映った動脈瘤を怖いと思ったこともない。

嘘。

昔は超怖かった。

死にたくなかった。死ぬのが怖かったし、死の要因になりうる欠損が自分の胎内に在ることが耐え難いほどに怖かった。

だってその時俺はまだ何も成し遂げてなかったから。

まともな恋愛もしてないのに、まだ誰からも愛されてないのに、何一つ満たされてないのに、満たされた気持ちになった瞬間すらないのに、折角産まれたのに、何とも繋がらず死んでいくなんて、こんな無情な事あるかよ馬鹿って思った。

本当に辛くて、悲しくて、苦しくて、色々呪って、恨んで、自分より幸せそうな人を全部ナチュラルに見下して、自分だけが悲劇のヒーローで、俺はこんなに辛くて苦しいのを我慢していきてるのに助けてくれない全ての「幸せそうな人」が憎かった。

そんなにお前らキラキラしてるんだから、少しくらいワケてくれよって思った。

でも誰も分けてはくれなかった。

結局のところ俺が「人に乞うてるだけの乞食野郎」だったから。

幸せってさ、人に与えないと絶対帰ってこないんだよ。

どんなに超絶辛くて悲しくて孤独で耐え難くて黒い感情が溢れてきても、

それでもそれをもうマジで血の涙流すくらいのつもりで我慢して、笑って、人を笑わせて、少しでも温かい気持ちを人に与えて、少しでも出来ることをして、優しくして、そうやってようやく1ミリだけ本当の優しさって返ってくるんだ。

その事を知らない人に、心から同情する。

きっと機会に恵まれなかっただけ。

その人が悪いわけじゃない。

願わくばその「機会のひとつ」になれたらいいけど、俺もかなり相当愚鈍な人間だから、99%うまくいかなくて、悪い結果になる。

でも1%だけ「遼があの時ああしてくれたから、今自分は生きることを選べてるし、生きることを肯定的に捉えることが出来てる」って言ってくれるひとがいる。

別に「俺ってすげーやつだろ」っていいたいわけじゃないの。

クソみたいに不幸のどん底に偶然配置されて、もう這い上がる気力もわかなくて、でもそれでも最後の最後で人生諦められないなら、人に優しくなるしか無いんだよ。

もうほんと、それしかないの。

自分の辛さの中に閉じ籠もってちゃダメ。

そこから這い出るのがどれだけ過酷なことかなんてもうマジで散々知ってる。

失敗して致命傷食らった人も実際死んだ人もいるけど、それでも。

お前が笑ったら、その顔を見て嬉しくなるやつがいるんだよ。

責任持てよ。

愛されちゃったら責任が発生するんだよ。

お前の苦しみはもうその時点でお前だけのものじゃないの。

頼る覚悟をしろ。甘える覚悟をしろ。他人を卑しく浅ましく利用して「不本意な何か」に寄りかかりながらでも立たなきゃいけねーんだよ。

で、立ったらちゃんと笑わせるの。

もうほんと最低最悪にくそ滑っていいから、全力で脳細胞使って面白いこと言え。

そうしたらお前のその心意気で誰かの心がちゃんと動くから。

そしたらお前の人生もそこから動くから。

お前はもう自分の人生そこから動かないつもりかも知んないけど絶対お前が思い込んでるよりは動いちゃうもんだから人生って。

笑えよ。

薄っぺらい偽善とか綺麗事とかカッコつけで言ってんじゃないぞ。

本当に心から愛した人を自分の落ち度で失って取り返しがつかなくなっても、それでも笑え。

てめえが今めそめそしてんのは弔いにすらなってねーんだって気づけ。

ほんとに愛してたなら、笑えよ。それしかないの。

それだけが愛の証明なの。

想像とか妄想の綺麗事で言ってんじゃないの。

俺だって本当に「自分が死んだほうが1000000倍マシ」な相手を失って、もうほんと死にてーな、死んだら楽だなって思って、そのビチグソみたいな状態で5年生きて、その上で言ってんの。

死んだ愛する人の弔いって、笑って幸せになって、人を幸せにすることだけなんだよ。マジで。

それしかないの。

いつまでも悲劇のヒロインにホロ酔ってたいなら勝手にしてろ。

それもお前の自由だし、お前の選択だし、それだって実際は尊いんだ。

単に俺はそういうのあんま好きじゃないってだけ。

俺をこんなに幸せな気持ちにしてくれた人が死んだ。

その人のその想いに報いるには今笑うしかないの。

死ぬほど辛くても笑うしかないの。

そしたら「色々もう深いところまで知ってるつもり」のお前すら知らないものがちゃんと見えるから。

それだけはもうマジ約束するから。

わかったかボケが死ねクソったれ