サハリン旅行(その7)

翌日の朝。

朝鮮系のおばさんのガイドと共に車で空港へ。

彼女からは,北方領土の話など,色々と面白い話を聞かせてもらえた。

まずは国内線でウラジオストクまで飛ぶ。

隣に座った男性二人は水兵であり,色々と話しかけてくるのに相手をするが,どうも彼らの話している内容がよくわからない。

もちろんこちらのロシア語能力がつたないためなのだが,適当に相槌を打ってごまかそうとすると,じっとこちらの眼を覗き込んで,「本当にわかっているのか?」という顔でこちらの様子をうかがわれるので,いささか閉口する。

「船乗りなの?」とこちらから聞いてみると,彼は胸元を拡げて,下に来ている青い横縞の入ったシャツを見せて,「水兵だ,・・・」とアピールする所など,まるで一昔前のソ連映画の一場面のようであった。

間もなくウラジオストク着。

以前訪れた時とは全く様変わりして,随分と立派な空港ターミナルが出来上がっていた。

建物の内部は明るく,土産物や海産物を扱う店がいくつも開いている。

大阪行きのチェックインカウンターの隣は,なんと平壌行き高麗航空のチェックインカウンターであり,多くの北朝鮮人がチェックインの手続きをしていた。

久しぶりに見かける北朝鮮人。

胸には様々なデザインの金日成バッジが光っている。

金正恩体制になってから配布の始まった大型の親子バッジをしている人もいたが,それ以前からある色々なバッジを皆ばらばらに付けていた。

その大半は,当方のコレクションしているバッジだったが,その中でも,とある青年の付けていた小型の円形バッジに特に注目する。

実はこのバッジ,以前中国の丹東で入手したが,バッジの裏側のピンを留める金具部分がそれまでの既存のバッジとは大いに異なり,チューブ状の金具の中にピンの通っている形状であり,果たして本物かどうか,若干研究の余地があると思っていた物なのだ。

もちろんその青年にバッジを外して裏側を見せてもらった訳ではないが,今まで数々の金日成バッジを収集してきた経験上,彼の付けているバッジは当方の所有しているのと同じ物だと確信した。

つまり,オリジナルの金日成バッジの金具も,色々なバリエーションがあるということを今回確認できた訳である。

稚内観光は飛んでしまったが,ウラジオストク経由に変更されたおかげで,最後に思わぬ収穫のあったサハリン旅行であった。